フィル・スペクターというおっさん

その曲は玄人向け過ぎる(売れない)

その曲は売れない(良い意味で)

なんつう言葉に振り回されて過去に書いた名曲を漁ってみる事数日。

良い曲があった。

桃色ハート という曲である。

ももいろクローバーZに先駆ける事10年。

当時毎日12時間程ハンドルのバリを取っていて、その反復作業足るや

その頃の記憶が全く無い程で、心には

音楽から完全に離れる事で学ぶ事もある

なんてな事を言われたなあ なんて思い出しながらも

完全に音楽とは無縁の日々を無駄にしてあった。

何ヶ月か経った頃急にあるメロディーが頭に浮かび、

よう分からんまま 何の曲だっけ?と数日過ごし

既存の楽曲では無い事を確信。

実家からギターを取り寄せ、積み上げる事一ヶ月。

ようやっと久しぶりに出来たのが上記の曲である。

ギターポップに限界を感じつつあった頃、最後に力を振り絞った

私の中ではハンドル臭い思い出深い楽曲である。


フィル・スペクターというおっさんがいる。

プロデューサーと呼ばれるこのおっさんは、関わるもの皆俺色に染め上げるナイスガイで

そのオーバープロデュースは概ねミュージシャンに不評である。

しかしながら、ラモーンズからレナード・コーエンビートルズまで手がけるその幅広い守備範囲は驚愕で、

誰もが一度はこのおっさんにプロデュースして貰いたいと望み、

結果失敗だったというくらい凄いおっさんである。

ラモーンズはパンクの荒々しさみたいな部分を失い

レナード・コーエンはコーラスの方に耳がいくような有り様で

ビートルズに至ってはジョンレノンが遠い と陰口を叩かれ

レット・イット・ビー・ネイキッドなんてな作品まで出される始末である。

音楽が難しいと言われるのはそういうところであろう。


私はこの桃色ハートという曲を今の私の感じで作りましょう と依頼されているのだけども

今の私。これは、ファンクをベースに一つのコード進行でどれだけ多彩な楽曲を作れるかみたいな部分であったり、

リズムを殺さずにいかにポップにするか みたいな部分を追求してあるのだけども

この桃色の糞野郎は、B級ギターポップの最高級みたいな顔をしてあって

リズムをぐんぐんに高めていくと、

本来持っていた可愛らしさみたいなへなちょこ感がぐんぐんに減少していき

しょぼさを追求すると、それはもうどんどんしょぼくなる有り様で

脳味噌バーンである。

それを両立させる事が可能なのか私には分からないし

ヴァンパイア・ウィークエンドっぽくしたら負けだなと思うものの

より日々試行錯誤。

玄人向けってなんやねん と思いながら、

類似アーティストはホセ・ジェイムスですと私は言い張って