良い音楽に理屈はいらないものの

聴けば分かるさ 迷わず聴けよ 良い音楽に理屈はいらない

つって人に良い音楽を薦めるものの、聴いてる私は何故良いのかと理屈を探す。


ブラジルのポップミュージックの天才、イヴァン・リンスの楽曲は

時に無性に突き抜けたポップネスを発揮し、私に驚きと感動を与えてくれる。

ボサ・ノヴァと呼ばれるジャンルは、日本ではオサレ系ミュージックとして分類されるが

サンバとジャズが融合して生まれたこの音楽が面白いのは、

サンバといういわばハレの日の音楽、ストリートで生まれた祝祭の音楽と

学術的と言えるくらいややこしく複雑になったジャズが

主に宅録で記録された密室性と融合して生まれたところにある。

これが普通のスタジオでガンガンに録音されてあったならば、

シンガーは当然声を張り上げるだろうし、もっとサンバ寄りの躍動感を獲得したであろうが

ブラジルの住宅事情と近隣住民への配慮から、ボサ・ノヴァは静かに情熱を燃やす。


イヴァン・リンス「今宵楽しく」というアルバムのタイトルトラック

イントロはタンゴの様な雰囲気から始まり、

コーラス前の予感。そして、合唱するコーラス部分。

特にコーラスの中盤の高く上がるメロディーが実に秀逸で、

今宵楽しく という題名に偽りの無い素晴らしい楽曲である。


アルバム Modo Livre 「Deixa Eu DizerDeSouza」

イントロがディープ・パープル的な不穏さから始まり、いきなりのコーラス。

電車 電車 電車と連呼する謎の歌詞。

宅録とは何だったのか という大熱唱。

骨格となるアレンジに大分ロックな味付けがされながらも、

メロディーはポルトガル語の音を引きずる為に、汗っぽさが少ないのが特徴か。


イヴァン・リンスの楽曲を紹介するのは、題名がポルトガル語で面倒なので後は適当にアマゾンで調べると良いが

マルコス・ヴァーリやジョビンと比べても遜色の無い素敵な作曲家で

彼らと決定的に違うのは、ロックとの距離だろうか。

マルコス・ヴァーリがクラブミュージックになっていったのも考えると、

根本的な音楽センス自体違うのでしょうな。


そして次はヘフナーというバンド。

東京にあるドラムのアフロ氏の家には私が彼に貸してあるCDが30枚程あるのだけども

何故かヘフナーというバンドのCDが3枚もあって、

もしかして私はヘフナーというバンドにハマってたのか?と聞くとどうやらそうらしく

そういえば20歳くらいの頃そういう時期もあった様な、無かった様な雰囲気。

今聴くと、ベル・アンド・セバスチャン的な感じのイギリスインディー・ポップど真ん中という感じですかね。

名曲中の名曲とは言いませんが、聴いてみると確かに私はこの曲が好きだったと思い出しました。

今聴いても色褪せないメロディーがあり、ヘフナーというバンドもロックの歴史からは埋もれがちな

良い曲が作れる人達でしょうな。

良い音楽を良いなあと思って聴くと良い気分で良いなあと思いました