プロの作曲と素人の作曲の違い

普段私達には素人が作った曲を聴く機会があまり無い為に、

そもそも作曲の良し悪しが分からないぜという人が多数いると思います。

とりあえず名曲と言っておけば良いってな風潮 ファックです。

メロディーが良い、歌詞が良い

そんなものは主観であって、結局言葉では説明出来ません。

職人の仕事には機能美と数学的美しさとバランスが備わっているのだと私は認識しています。

そこで、素人の作った曲を聴きどこが悪い点なのかを考察する事で

プロレベルの感覚を学びたいと思います。


まず、最近私がファックだなと感じたものから


右肘左肘交互に見て ×3

非常に印象的なフックを持つこの曲ですが、やはり素人だなぁと感じさせます。

高校時代の私も同様の問題を抱える曲を書いた事がありますが、

ブレスする場所が無いのですね。

一人の人間が、

右肘左肘交互に見て右肘左肘交互に見て右肘左肘交互に見て

と歌うには多大な酸素を必要とします。

せめて、二回繰り返した後に一旦ブレスする場所を作って三回目が始まるならば

そこまで無理な感じはしませんが

三回となると最後の方では顔から血の気が引いた状態

いわゆるチアノーゼの症状が出てきます。

歌う側の負担も考えられる作曲が出来なければプロとは呼べませんね。

ちなみに私は同様の感じで全くブレスが無いサビを作り、4回繰り返していました。

では何故このような作曲をしてしまうのか?

この様な間違いを犯しがちなのは主にロックでバンド編成の人たちです。

まずバンドでは

1,作曲者と歌う人が違う為に、実際に歌ってみるといかにしんどいかが分からない

2,ギターで作曲する人間が多く、歌のメロディーだけで曲を完成させなければならないと思っている

3,一つのメロディーが思いついた時点で作曲が終了してしまっている


まず1つ目ですが、クラシックやジャズではトランペットやサックス等の笛的な楽器が多く使われますので
ブレスの場所が無いといかに大変かというのが身を持って知っている場合が多い可能性があります。

2つ目に関しては、複数の楽器を組み合わせてメロディーを作る意識が高いかどうかが関係していて
特に3ピースのバンドに顕著ですが、ギターがコードしか弾かない場合なんかはメロディーに音符が多くなりがちです。

3つ目は、どれだけ全体を視野に入れて一つの部分を作るか?という事で
ある部分を作りこみながら、全体からのバランスを見て押し引き出来るかどうかというのは、多分に経験とセンスがものをいうのだと思います。


次は天才と言われる人の作品です

Aメロ部分を聴くとわかりますが、

歌の隙間をギターとかぶせて録音した歌が埋めています。

このアレンジのお陰で、メロディーの隙間を意識させない訳ですね。

この曲は2コーラス目終わりにはベースがおいしいオカズ(装飾)を入れられるパートも用意していますが、

これこそが全体を意識した作曲法なのであります。

バンドというのは組織でありますので、これは劇団と一緒で

構成員一人一人に目配せが出来なければいけないのです。

ベースが暇そうな顔をしているな そう思ったら、ベースにおいしい役を渡す

これで組織の運営をスムーズにする これも作曲の一つの仕事なのですね。

また、イントロとアウトロで印象的なドラムを叩かせるのも良い仕事です。

ドラマーというのは手数が多ければ多い程、

あぁ 今日も仕事したな

そう思う人たちなので、このアレンジは非常に機能的であり

ドラマー、ベーシスト共に自尊心を満足させる良い作曲であると言えます。


この様に素人とプロの間には超えられない壁が厳然とあります。

暇なときは、素人のライブを見に行って

ああ やっぱり素人は素人だな はははと、鼻で笑うのも勉強です。

私どもがライブをする際には、

是非 鼻で笑いに来てあげて下さい