第四回ベース講座 つうかベースって必要か?

ここまで書いてきてなんですが、果たして本当にベースは必要なのでしょうか?

世の中にはベースレスバンドというものがあります。

最近ではホワイト・ストライプスが有名ですが、それより前のバンドではジョンスペンサー&ブルース・エクスプロージョンやプレジデンツオブザユナイテッドステイツオブアメリカ(以下長いのでプレジデンツ)なんかが有名です。

まずプレジデンツで有名な曲を聴いてみましょう

低音がスカスカですね。

メリットは聴いた印象が軽いってなところでしょうか。

軽快な印象も与えやすいでしょうし、タイトな感じはそれ程悪くはないですね。


次はホワイト・ストライプスを聴いてみましょう

格好良いですね。ベースなんていらなかったんですね。

いやあ 良かった良かった

今日も日本は平和です。 では!



って、そんな訳あるかーーーーーーーーーーーーいと。

ベースあったほうが絶対良くなるから。

つってもどっちも成立しているように聞こえたとは思います。


まず一つ目のプレジデンツの方ですが、厳密に言うとベースレスではありません。

ベース的な役割を持った人はちゃんといます。

ただ、役割として低音で音圧をつくるという事をしていないだけです。

1曲通して聴くぶんにはこれもなかなか良いのですけど、

やはりどうしてもアルバム通してとなると飽きがきます。

ベースは全体の音圧のコントロールをするのに適している楽器なのに、圧力が一定だとメリハリが無く感じてしまうのですね。

そうすると何だかずーっとダラっとした感じに聞こえてくるものなのです。


ホワイト・ストライプスの方は、世間的な評価も高くええやん と思うでしょうが

これはバンドでは無いのですね。だから成立している訳です。

要するにこれは、弾き語り+ドラムという風に考えると分かりやすいでしょう。

ベースを入れない事で、いろいろな制約から自由になれるというメリットが

ベースを入れる事のメリットを上回ったという話ですね。

音楽的洗練よりも、ロック的初期衝動を取った結果の音楽と言えましょう。


では音響的な見地から見てみるとどうか?となりますと、

やはりベースは欠かせないものになります。

低音は全体に占める音が大きくなればなる程、高音を侵食していくという特性があります。

その為全体の音を低音である程度以上占める事は、高音の綺羅びやかさを失う恐れがあるので

低音をある程度足した場合、高音も更に足さないと こもって聞えます。

しかし高音を足して調度良くなったとしても、ベースが音を出さない部分では高音が耳障りになる可能性が出てきますので

そこのバランスをどう取るか?が音響的な技術になってきます。

で、話は少しそれますが

コンプレッサーというエフェクターがありまして

それを使うと、あるラインを越えた音を潰して小さくするという効果を得られます。

これは今では全ての楽器に対して使われるものなのですが、

音圧のコントロールをする上で非常に大切な役割を持っています。

ベースという楽器は全体の音圧をコントロールする役目も担っているので、このコンプレッサーというものを知る事は非常に重要です。

では、私が凄いと思ったコンプレッサー使いはというと

ダフトパンクですね


バスドラム(キック)が入ってからの全体の音圧に注目して頂きたいのですけども

キックがかなり低い音で、単体で大分音圧があります。

そこで高音に注目して聴いてみるとわかりますが、

キックが入った瞬間に、音が小さくなるのが分かると思います。

で、キックが抜けるとふわっと大きくなります。

これで波を作り出している訳なんですね。

ダフトパンク等のハウスという音楽では、

ベースはそこまで低音の音圧を担当する訳じゃなくて、

その役割はキックが担っている場合が多いのですね。

なので、そういう音楽を知るとベースという楽器の使い方も変わる訳です。

キックが大きい音で鳴っているのに、ベースも低音で弾きまくったら

音が団子状になってしまって、訳ワカメになってしまうというのは良くあることです。

ベースという楽器の面白さは、ジャンルによって色々な役割が与えられるという事も言えるはずです。

ちなみにですが、世の中ではドンシャリという音が良い音とされていまして

これは低音のドンと高音のシャリが混ざった音なのです。

高級オーディオ屋さんに行くと分かりますが、大抵サンプルでかける音楽はクラシックです。

これは音楽の中で最も低音から高音までが満遍なく鳴らされる音楽だからなのです。

ドンシャリというのは、

低音があるからお前がいる

お前がいるから高音がある

そういう切っても切れない関係であり、良い音を志す上で避けては通れないものなのです。


余談ですが、ダフトパンクの1枚目はすごい大きい音でキックが入っているアルバムなのですが

車で鳴らしてもほとんど音が割れません。

何でか不思議だったのですが、たぶんキックの余韻を極端に短くカットしているからではないかと思っています。

低音というのは、抜けていくのが非常に遅いので

ある程度短くしてもちゃんと存在感を示せるのだと睨んでいます。

そういった事を考えながら聴く音楽もまた楽しいものですといった所で、

第四回はここまでです。ご清聴ありがとうございました