第一回ベース講座
私は怒っています。
ベースは簡単な楽器だよね と世間から軽んじられている事にです。
第一回ベース講座ではまず、何故ベースという楽器が舐められるのかを解き明かしたいと思います。
ベーシストという人種は不遇です。
楽器何やってるの？と素人に聞かれれて
「ベースだよ」と人に言う時、我々ベーシストは
（どうせ簡単な楽器だと思われてるんだろうなあ）もしくは、
（あぁ舐められるなあ）と内心思っています。
それで返ってくる言葉が、
「ジャンケン負けたんですか？（ニヤニヤ）」だとちょっと待てと。
そこに正座しなさいと。
そう言いたくなるくらいにベースは世間的に舐められております。
まず私がみなさんに言っておきたい事は、
楽器は練習すれば誰でも巧くなるのだということ。
そして極めれば極める程スポーツに近くなっていく種類の巧さもあれば、
ゴッホの絵の様に真似したくとも真似出来ない種類の良さもあるのだと言うこと。
ギターが巧いという場合、そのほとんどが速く弾けるという意味になるのと違い
ベースが巧いという場合、基本的にはフレーズが良いという意味になるのだという事
まずはそういうものだと思って良いです。
で、
何故こんなにもベースという楽器の地位が低いか？という事ですが
これには色々な原因があると思います。
１，一人で弾いてもほとんど成立しない
２，ベースという音を意識した事がない
３，はなわ
４，イヤフォンで音楽を聴くのであまり聞こえない
５，バンドの花形はギターだと人づてに聞いた
６，日本のメディアの中に有名なベーシストが取り上げられない（テレビに出ない）
などなど考えられますが、個人的には
ハードロック、パンク、日本のポップスよりのバンド編成しか聞いた事がない人による
ベースってしょぼいよな啓蒙活動の効果が一番大きいのじゃないかと思います。
これらはどれもしょうもないベースの代表格ですが（これらはどれも私の主観であり使用上の効果には個人差があります）
最もベースって簡単な楽器だなと思わせてしまったバンドは
BOOWYに他なりません。
ここで知っておくべき事は、
パンク、ハードロック、ポップスでのベースの役割は楽曲を支える土台となるものであって
ベーシストがエゴイスティックにどうこう出来るものではないのだということ。
BOOWYの様なベースのスタイルをルート弾き８ビートと我々は呼びますが
これがベースが簡単な楽器と思われる一番の癌でございます。
ギターの様にとてつもなく速い訳でもなく、
誰にも思いつかない様なフレーズでもないとなれば
そりゃ誰にでも出来る楽器と思われても仕方ございません。仰るとおりです。
しかし、それはベースという楽器の極々一部の使用方法であって
ベースは簡単な楽器だなあ と言うのは、
野球でピッチャーの投げるストレートの球速だけを見て、こいつはダメなピッチャーだと言っているのと同じです。
サッカーでPKを外したからバッジョは下手だと言うのと同じです。
力士を見た目だけでただのデブと言うのと同じです。
ベースは簡単な楽器だとあなたが言う時、その影で
ぷぷぷ こいつ音楽のおの字も知らねえでやんの そう笑われていると思って下さい。
色々な音楽聴くんだよね と人に言う人は、一回渋谷のタワレコなりHMVなりに行って自分が聴かないCDコーナーがどれだけ多くあるのかを知って下さい。
私の怒りや悲しさ切なさ愛しさ心強さ
お分かり頂けたでしょうか。
もう少し掘り下げますと、
所謂バンドブームというものがあった時、そのほとんどがビートバンドだったという事実があります。
X（エックス）通称エックスジャパンや（初代ベーシストTAIJIは神という説あり）
前述のBOOWY、こういったもの（簡単なベースのバンド）が巷で盛り上がった時
これは商売になると次々とバンド系雑誌が発刊され、
「バンドやろうぜ」「GiGS」「パチパチロックンロール」こういった雑誌を読み
バンドを組んだ若者達が、ベースは簡単な楽器だと触れ回った可能性が大であると
個人的には考えております。
まとめますと、
１，ベースを簡単な楽器だと言う人は、基本的に洋楽を聴かないし聴いたとしてもアブリル・ラビーンかシェリル・クロウしか聴かない。
２，ベースは簡単な楽器だというイメージを決定づけたのは松井常松（BOOWY）
３，ベースを始めたきっかけのほとんどが文化祭でバンドを組む時にジャンケンで負けたから
４，一般的に理解されにくい楽器なのでベーシスト同士の会話は滅茶苦茶盛り上がる
第一回講座は
以上となります。
