スズキという男

「ちょっと火貸してもらえますか」

実にアナログな出だしである。しかしそこから始まる出会いもある。

相手が女子であった場合私の警戒信号はレッドで点滅し、

宗教の勧誘、もしくはツツモタセ、あるいはマルチ商法かと胸躍るのだけども

スズキは男子。

「今何聴いてたんですか」

というこの好奇心。

私は運悪くその時「エルビス・コステロ」なんかを聴いていたのであって、

エルビス・コステロだけど」と言うと、

「ちょっと聴かせて貰っていいですか」と言う。

何だその好奇心。

次いで出た言葉は、

「クラブとか行かないんですか」

という謎の質問。

エルビス・コステロを深夜に聴いて歩くおじさんが、クラブに行く訳も無く

行きませんなあと言うと、そうなんですねと言う。

どういう音楽が好きかと聞くと、

んーと唸った後に、「ビートルズ」は凄い好きですね と言う。

「お前クラブとか行く人間ちゃうやろ」と内心思ったものの、

あぁ バイト終わりの深夜2時にまさか

ビートルズで一番好きな曲は何ですか」という質問をされるなんて思いもよらず

何故だか見ず知らずの人と歩いて帰っている私。

その後私達は二時間程ミニストップの前で、まさにミニストップして

色々な事を語り合い、

girlという名前でCDが出るであろう事

そしてこのブログの存在をちゃっかり宣伝し、

連絡は全てツイッターで取り合っているという私の渋いライフスタイルのせいもあり

電話番号の交換もせずに別れるという

渋過ぎる出会いと別れをそこで行い

このブログを果たして彼は読むのだろうか

と今まさに起きた事を書き綴る私は、

リアルタイム・シンガーソングライターのようで、

しかしながら、高橋優は今頃寝てるんだろうなと感慨にふけって。