新人を育てる立場になって生じた私の責任感

レンタルされたものを元の棚に戻す作業、これをマスターバックと言う。

ビデオ屋で働き初めてはや半年。

私は今の店で、マスターバック王の地位を確立。

地獄の黙示録マーロン・ブランドの様な感じで椅子に鎮座して、人を顎で使うまでに成長した。


最近では一度きに新人を大量獲得した為に、育成がままならず

ダービースタリオンでいうところの、良い牝馬を4頭程買ってしまって

毎年毎年産まれる仔馬達の一頭一頭に目をかけて育てる余裕が無くなって

全てをおまかせ牧場に預けたところ、5年程経過した時点で

週を進める度に誰かのレースが始まって、時間が一向に進まず

ゲームという能動的な行為をしているにも関わらず、

次々と始まるレースを毎週毎週眺めているだけという謎の抽象的行為に発展。

ゲームをするのも楽じゃないな と人生の苦味を一つ知るみたいな事で

一人一人に献身的な教育を施せていない状況があった。

これではいかん と思って今日は教育でもしていこうという気持ちであったところ、

遅々として進まないマスターバックの小娘を発見。

どれどれどれどれ ドクター・ドレと駆け寄ったところ、

邦画ドラマの棚で「白竜」を持って呆然としてある。

ちょっとお嬢さん、それを探しているのかい と声をかけたところ、首肯するので

それではおじさんについてきてごらん と言って、

邦画アクションに誘導。

この辺にあるであろう とお告げをしたところ、

し、し、し と必死で探している。

何とも憂い奴よ と私の菩薩が後光を差したので、

お嬢さん お嬢さん、

これは「ホワイトドラゴン」と読むのであるよ と親切に指導。

ほれほれ この通り、は行にあるじゃないか

と二人めでたく「白竜」を発見。

私はさすがですね!と褒められ気分も上々。


こうしてまた一人、新人が育ったのであります。