壁にミザリー、障子にメアリー

私が10年程吸っている煙草マイルドセブンが、メビウスという名前になったのはこの間。

猿並みの知能のオカメインコ野郎共が、無い知恵を絞ってメビウスにしたっつうのは

いかに名前、ネーミングが大切なものなのかを理解していない証左であり

絶望しか感じないのであるけども、

これが例えば、ジョン・レノンであれば簡単に名前は変わらないはずであって

ジョン・レノンは、明日から「へらちょんぺでかうんこ丸」になりますと言った場合

世界各国で暴動、石投げ、火炎瓶投げが横行するのは間違い無く

特にフーリガンの特産地であるエゲレスであれば、国が傾く可能性も考えられ

故に、ジョン・レノンは未来永劫ジョン・レノンのはずである。

大のおっさんが、唐突に「メビウス」と言わなければならないこの悲しさに、

今日も小雪が降り積もっているのだけども、

最初の何ヶ月か私は高い志を持って、「マイルドセブン」とあえて店員に言ってきたのだけども、

ゆとり世代の台頭と「研修中」の台頭から、それもどうかと考えるようになった。

言葉は、伝わらなければ何の意味も無いからである。


そこで最近の私は恥を忍んで、

メビウスライトのソフト一つ」何てな風にはっきりと明瞭に、やや自嘲気味に店員に言うのだけども

どこでどう間違えたのか、

店員が目の前に差し出したのが、

ピースライトのボックスであって、

「これでお間違えありませんか?」と堂々と聞いてくるのだけども、

私は、えへっえへっと卑屈に笑い

「すいません、メビウスライトのソフトです」と再び言って、

やっと目当ての煙草を買えるのである。

私の滑舌に問題があるのか、相手が佐村河内なのかそれは分からないが

抜け出せないメビウスの輪。無間地獄。