事故式ニードロップの後遺症

先日、私の彼女は台湾に行き怪我をして帰ってきた。

といっても、転んだ程度のもので鼻息荒く自慢気に膝を出すので

拝見したところ、両膝にかさぶた。

この歳にもなって両膝にかさぶたて ぷぷぷ と大いに馬鹿にしたものであるが、

私にも不幸は訪れた。


おじいちゃん子の私は、おばあちゃんに様々な事で躾けという名の小言を言われ育てられたが

その一つに、人は跨ぐな というものがあって、

私は忠実にその教えを守り、今ではギターも跨ぐのには罪悪感が沸く。

がしかし、我が家では毎日彼女を跨いでいるのであって

と書くと血気盛んなあなた達はすぐにエロい事を想像するが、

そういう意味ではなくて、

我が家のルールでは、早く起きる方が壁から反対側に寝る権利を持つのであって

と言葉で説明しても分からんので図を書くが、

この様な間取りになっているので、そういったルールがいつの間にか施行されているのであるが

この際、大概先に寝ている彼女を跨いで私は壁側に移動する。


私はまず、ベランダ側を向き右足を彼女の体の右側に置き

それから左手で壁に手を付き、全体重を左手に移動。

それから左足を壁際に置きくるりと一回転し、仰向け姿勢で寝るのであるが

その日は違っていた。

左足を着地しようとした瞬間、私の足は不幸にも本来ベッドがあるはずの空間をすり抜け

床の上に着地。

ベッドの高さは40cm程あり、伸びきっていた私の右足は突然の荷重に耐え切れず

膝から彼女の脇腹に着地。

彼女の悲鳴。

私の心は、うわっ なんかゴメンという気持ちと

何でベッドが壁から離れてるんや という怒りと驚きで

一気にアドレナリンが噴出。

ごめんなさいとアーユーオーケー?を死ぬ程繰り返し

ようやく彼女が痛みから開放された頃

私の左手は痛み出した。


足を踏み外す瞬間まで全体重が乗っていた私の左手は、

左足が床に着地する際、やはり40cm程壁に擦ったまま下降。

音で言うと、スリザリンってな感じで摩擦し

私の左手は負傷した。

しかしまあ、寝る前でもあり流血には至らないという事もあって

彼女には、あなたは今大変痛い思いをしたが、私も同様に痛い思いをした

アイポッドで負傷箇所をアッピールし、双方痛み分けという事でと

手打ちにして頂き、就寝。


翌朝。


私の左手には3つのかさぶたが鎮座していて

シャワーを浴びると染みる

何てな基本知識さえ忘れていたので、

シャワーを浴びると染みて、痛かった。

私は痛さと情けなさで泣いたが

涙はシャワーと共に排水口に流れていった。

32歳、季節はもうじき冬の事である。