OK狭間の戦い

俺はまだ本気出してないだけなんてな漫画があるが

そういえば私はこの夏一度、久しぶりに本気を出した。

その前の本気は、三人で軽自動車をひっくり返した出来事に遡るので

思えば12、3年の間本気が出ていなかった。


青森は弘前はヒロロとかいうふざけた建物での話。

そこには、姉、弟、姪っ子といて下りのエスカレーターがあった。

そこで私は、

「ちょっと前にエスカレーターで後退りしたら、体を手すりのベルトに持っていかれてそのまま落ちたっていう事故があって」

そう言いながら後ずさりし、

「そう、ちょうどこの様に…」と言った時だった。

まさしく、ちょうどその様に体が手すりのベルトに持っていかれたのである。

ほんの少しジーンズが手すりに当たっただけで、私の体は簡単に自由を無くし

みるみる上昇しだした。

私は走馬灯を見る様な事は無かったが、

確かに一瞬の間にこう考えた。

ああ、人ってこういう風にふざけている時に簡単に死ぬんだなぁ という事と、

はあ、これが自分の人生の終わりかぁ、カッコ悪いなあ という事と、

兄弟と姪っ子の目の前で死ぬなんて、申し訳ないなあ という事

一瞬の内に私は自分の死を了解し、納得した。

がしかし、

人間えらいもんで、体はエスカレーターに必死の抵抗、攻防を繰り広げ

魂が暴動を起こし、私は必死の形相で生還した。

実際には、2秒から3秒の間の出来事であったが

私の心臓は、地獄の門を確かにノックした感触があって

ドキドキが止まらず、脳味噌がリミッターを外したのか

いつまでも興奮が冷めやらず、私は姪っ子よりもテンション高く

ヒロロとかいうふざけたデパートメントの中を躍動したのであった。


私がこの件で学んだのは、

ふざけ半分で人は簡単に命を落とすという事と、

エスカレーターの手すりの摩擦係数はやばいという事だった。

みんなも気をつけよう まじで真似すると危ない。いやまじで。