俺のスコーンがこんなにジューシーなわけがない。

過日、スコーンのパッケージを見ながら考えていた。

カリッとサクッとおいしいと上部に小さく表記。

下部にでかでかと「ジューシーな旨みあふれる!」とある。

清々しい程に矛盾している。

スナック菓子っつうのは、往々にしてコーンスターチを油で揚げるのだからし

カリッサクッには同意するにしても、ジューシーなとはこれいかに。

お前、揚げ物ちゃうんかと私は思った。

むしろ、ジューシーになるのは私の口腔内であって

旨みがあふれるのも私の口腔内。

コイケヤも焼きが回ったな、

所詮二流。四天王最弱よと思っていたところ

なるほど。


そこではたと気がついた。

ここで仰っておられる「ジューシーな旨み溢れる!」は、

スコーン和風BBQ味の商品説明ではなくして、

スコーンを食した際に得られる結果の示唆なんだなと。

つまり、食べたら口の中がジューシーになりますよとコイケヤは仰っているのだろう。


これは盲点であった。

というのも、これが仮に

「毛が生える!」と謳った育毛剤であったなら、

誰も育毛剤に毛が生えてくるなんてな、ジャパニーズホラーテイストの想像はしないので問題無いが

何故私が錯誤をしたかと考えるに、

本来ジューシーな旨みという形容は、食物に対してされるものであるからで

肉本来のジューシーな旨み

スコーン特有のジューシーな旨み

と併記してもなんら違和感が無いように、

争点はスコーンはジューシーか否か?の一点であるかの様に思えるのも無理はないはずで

つまり、スコーンの煽り文句は狡猾な罠であって

スコーンがジューシーな訳あるかい!との暗黙のツッコミを待ちながらにして

突っ込みが入った途端に

「それはお前の事だー!!」と、

「ここは地球だったんだー!!」と、

切り返されるという実に嫌らしく、こずるいブービートラップが仕掛けられていて

そう考えると、上の方に小さく書かれた

カリッ サクッ という文言。

これが非常に小賢しく、

段々と敗北感、喪失感が口の中に溢れ

何か目からしょっぱい汗も出てきて

顔中がジューシー。