ビートルズとミスターチルドレンのどっちが凄いのか?について真剣に考えていた日々

しばらく放置、昨日ふと気になってここに来た。

そして今日もふと気になってここに来た。

ページビューが200程増えていた。少し申し訳なく思った。

なのでリハビリを兼ねて最近考えていた事を言葉にしたく思う。


批評家という職業がある。

私は訳あってHULUというサイトの動画を拝見しているのだけど、ある纏まった量の中から何かを選ぶ事は難しい。

洋楽を聴く人が元々少ないのもそういう事であろうし、ビームスが人気なのもそういう事なのかもしれない。

そこで私はそこそこ興味がある程度のものに関しては一応下調べをする。

微妙に見たいかなあ?という程度の「ワイルド・ワイルド・ウエスト」がラジー賞を5部門獲得なんてな情報が事前にもたらされた場合

私は基本的に見ないのだけど、

ある程度のレビューは一応見る。

アマゾンのレビューなんかも一応見る。

そこで素人のレビューとプロの批評家では何が違うのかを考えた。

素人の批評の場合、多くは良いか悪いかについて書かれている。

このシーンは良いだとか、演技が良いだ、曲が良いだ、テンポが良いだと。

アマゾンに☆での評価があるのも、端的にみて良いか悪いかについての評価が有用だという事があるからで

実際問題、何かを選ぶ際に最も気になるのは良し悪しである。

つまり良し悪しについての確実な需要は存在する。

そして多くのレビューが未見・未使用の人に対して書かれている事が一番の問題であるように思う。

先日、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「ラブレス」というアルバムのリマスターをネットで聴いたところ

事前の情報ではほとんど元の盤との差は感じられないという意見が目についたのであるが

実際は全くの別物であった。

第一にオリジナルのマスタリングとは目的が違っていた。

元の盤では音と音の境界は意図してぼかされ曖昧にされていて、だからこそリスナーは自分の意志で音にフォーカスする事が求められた。

そしてある一点にピントを合わせるのが難しいからこそ、それが新たなリスニング体験に繋がったのだと思う。

ロックというジャンルであるのに、交響楽団を聴くときの様な体験である。

しかしリマスター盤では、アタックの強い楽器が明確に定位され分離した事で完全な別物になっている。

何が録音されそれがどこで鳴っているかが明確になった事で、手に取る様に事実が浮き彫りになったのである。

そして目的が違うのだからして、そこに優劣の差は付け難い。

その関係はパズルに似ているなあと思う。

バラバラのパズルと完成したパズルの間に優劣を付ける事は難しい。

同じピースの集まりである事に間違いは無い。

一方には魅力的な謎があり、もう一方には毅然とした秩序があるだけだ。

今目にする多くのレビューは、

謎があるから優れているだとか、秩序があるから素晴らしいといった様なものばかりであり

しかしそれは有用ではあるが本質とは全く別の話なんじゃないかという事、そんな疑問がある。

良いと悪いを分かつのは差異である。

そして差異について語る為には、知識の量が不可欠である。

仮に自動車は便利だ という事を人に伝えるとしたら、

疲れない 遠くまで行ける 雨に濡れないといった事も全ては比較の上にしか成り立たない。

それは対象を細分化していっても同様であって、


ではビートルズミスターチルドレンについて語る場合何が一番の問題か?

という問題が実は一番の問題なのである。

結論から言えば、

ミスターチルドレンビートルズより凄い という問いがなされた時点で、

ミスターチルドレンビートルズに勝る事はあり得ない。

何故なら、まずビートルズは凄いか凄くないか?という命題に対して

凄い という前提で問いが成されているからであり

この凄い凄くないの尺度を作ったのがビートルズであるからであって、

ビートルズにとっての良い曲と

ミスターチルドレンにとっての良い曲

そのベクトルが等しい事からもそれは理解出来るはずである。

つまりは、ミスターチルドレンビートルズを並べる事その行為が既にコンプレックスの発露でしかない。

別の言い方をするのなら、

ミスターチルドレンマイルス・デイビスより優れているか?という問い自体なされない事に注目するべきである。

私が言いたいのはつまり、

ビートルズと比べた時点で、それはもうビートルズの土俵であるという事で

君たちは早い所負けを認めなさいって事です。


この先もの凄いコンピュータが登場して、現存する全ての楽曲をデータ化して

ある楽曲について調べたら、その曲が発表される以前の楽曲全てと比べてどの程度類似しているかが分かるようになるはずです。

そうなった時に始めて作曲家の優劣が付くのかもしれないなあ なんてな妄想をしている最近です。