かめはめ波を打てない理由

男の子なら誰でも一度はかめはめ波を打ってみた事があるだろうと思う。

そして結果出なかった者が大半だったろう事も想像に難くない。


スプーン曲げ という競技がある。

このスプーン柔らかいよ と自分に言い聞かせ、本気でそれを信じこする。

さすれば通常堅いスプーンもまるで飴の様にぐにゃりと曲がるのである。

これは信じる事の大切さを教えるユリ・ゲラー先生の情操教育でもあったろう。


スプーン曲げに関して言えば、眉唾ものの情報もあったろうが

曲げれた という声はある一定数聞こえてきた。

しかし、ことかめはめ波に関しては私の耳に

「昨日、かめはめ波出た!」

なんてな情報は聞えなかった。

何故だろう。

私は当時、真剣にかめはめ波を出そうとしたはずだ。

子供はバカなのである。

というような事を考えていた時、ふと気付いた。


私はいつどこでかめはめ波を出そうとしたのか。

さすがに人前ではやらなかったはずだ。

誰もいない時間 誰もいない部屋で私はやったはずだ。


そこで思い出したが、私は一度部屋でロケット花火に点火した事がある。

友達がいる時に、冗談でロケット花火に点火する振りをして驚かそうとしたのだ。

しかし悲劇は起こった。

ギリギリプレイを楽しむ内に誤って導火線に着火してしまったのである。

私は思った。

やばいやばいやばい。

どうしようどうしようどうしよう。

私は足で踏んで導火線の火を消そうとした。

しかし偉いもんでそれは全く消える気配は無かった。

最終的に私が出した答えは、このまま踏んだ状態で蓋をして被害を最小限に抑えようという事だった。

人間パニックに陥っても合理的な判断が出来るものである。

部屋の中で聞くロケット花火の音は、それはそれは大きな音だった。

下の階にいた母は物凄く驚いていた。

私も驚いていた。

靴下に穴が空いて悲しかった。

そんな事があった。


多くの人間はかめはめ波を打つという行為の気恥ずかしさから、きっと自分の部屋で隠れてやったと思う。

そして故にかめはめ波が出る事は無かった。

部屋で本当にかめはめ波が出てしまったら大変な事になるからだ。

子供だってバカじゃない。

知らず知らずの内に力をセーブしていたのだろう。

そんなもん出したらお母さんに怒られるに決っている。


サイヤ人の諸君

さあ今こそ 書を捨てて町へ出る時だ