キャシャーン

現在「アメイジングスパイダーマン2」鑑賞直後であり、その圧倒的な素晴らしさと

先日拝見した「キャシャーン」の怒りを元にこうしてキーをタッチしている。

この1週間で「GOEMON」「キャシャーン」「X-メンフューチャーアンドパスト」「ネブラスカ」「ローンサバイバー」「アメイジングスパイダーマン」を観たのだけども

ローンサバイバーの素晴らしさを「GOEMON」で相殺され

ネブラスカの素晴らしさを「キャシャーン」で相殺された私は今、

アメイジングスパイダーマン2」鑑賞によりようやく収支がプラスへと至ったというのも

紀里谷和明の負の才能の凄さとも言えるのだけども、私なりに彼の映画がどう駄目かを考えてみると

①映画の本筋とは関係無い謎=説明不足

②感情のほとんどがセリフで説明される=説明過剰

この2つがまず軸にあって、

キャシャーンで言うと雷が研究所に刺さるのだけども、

「雷が研究所に刺さる」と言葉で言っても映画を観ていない人には全く状況が飲み込めないだろう事は容易に推察されるのだけども

事実映画上で「雷は間違いなく研究所に刺さっている」としか説明の仕様が無い場面があって

私自身「雷が研究所に刺さるはずが無い」という常識の元この30年生きてきたのであり

雷が落ちた後「何か得体の知れないモノリス的なものが突如出現した」と捉えてしまった為に

モノリス」の具体的説明が無いままに物語はぐんぐん進み、

20分程経過したところでようやくセリフにより、

「研究所に雷が落ちて〜」みたいなセリフがさりげなくされる事により、

どうやら「モノリス的な何か」はまさしく「雷」であったと判明するのだけども、

その20分の間私は脳内で、あのモノリスみてえなのは何やねんと考え続けてあった訳で

そういう謎の演出で翻弄される事が多々あり、自然な映画鑑賞の妨げになる場面が複数ある。

ここまで字数を尽くしてもこれを読んでいるキャシャーン未見の人には、

何が何やらさっぱり分からないと思うけども、私もよくは分かっていない。

私がその雷を「モノリス」と誤解したのは、

それがあくまでも物質としてそこに存在している事もそうなのだけども、

謎の視覚エフェクトがフラッシュバック的に画面を埋めるせいで、

「オカルティックな何か感」「超現実的な何か感」があった為でもあり、

あれが雷であるならば、青い光のいわゆる電気的なエフェクトが必要であると思うのだけども

私にはそれが「呪い」的な何かにしか感じられず、そのエフェクトも物語進行上必要なものでも無い為に

最後まであれが何を示しているのか分からなかった。

他にも、時間経過が全然分からない「突如雪山にいる問題」

ずっと喋っていないから喋れない人達かと思ったら急に演説を始める「唐沢寿明問題」

大量のロボット兵器が何故か突如用意されている「ロボット誤発注問題」

やたらベタベタと兄と妹がいちゃいちゃし最後はキスまでする「近親恋愛問題」

そしてヤフーのレビューでこの映画を賞賛する人が複数いる「素人レビュー問題」と

私には全て「悪魔の所業」としか思えない。

宇多丸先生の「GOEMON」の評論を聞いてはっとしたのは、

キャシャーン」も「GOEMON」もテーマは暴力の連鎖についてであり

グラン・トリノ」と共通のテーマを扱っているという事で、

何故か得体の知れない寒気を私は感じた。


また2作品共通する普通の駄目な部分として、編集のテンポの悪さがある。

物語上一応盛り上がりは用意されるのだけども、

よしここから良いところだ といった場面で必ず同時進行の別なシーンへと切り替わり

音楽が徐々に盛り上がり最高潮まで折角盛り上げておきながら、

突如テンションが全く違う静かな場面へと切り替わるベートーヴェン的強弱法が多様されるのは百歩譲っても

シーンが戻ってきた時には良いところが終わっている事多く

これは例えて言うと、「ドラゴンボール」において悟空が

「かーーーめーーーーはーーーーめーーーー」まで行ったところで、

突如、ヤジロベーのコメディパートが挿入されて次に悟空の場面になっていると

かめはめ波は打ち終わった後だった

みたいな事で、しかもほとんどのシーンがそういう展開をするので

常にこちらの期待が裏切られていくような感じがあって気持悪く

著しく作品鑑賞のスムーズな進行を阻害している。

私は音楽という時間に縛られたものを作るのでタイム感に関しては自信があったのだけども

キャシャーンを観ていて、おう やっと終わるのかあと思って時計を確認したところ

残り1時間10分と表示され、その後の時間は正に苦行であり、もう少しで「大悟」するところだった。

キャシャーン」という映画は万人におすすめ出来るものではないが、

押井守「アヴァロン」が好きとか紀里谷和明「GOEMON」が好きという人、

もしくは現在出家中の僧侶の人は観てみるのも良いと思いますよ


追記 画面には大抵「ちらちらした何かが降っている問題」というのもあります

追記の追記 そもそも麻生久美子と伊勢谷は兄弟では無かった事がWIKIで分かりました!