素直になれない

ちょっと前にネットの音楽オタク云々の記事を書き怒りを爆発させた私は、

日々を慎ましく送ってあった。

かつては烏賊を盗んだ事もあった。車を燃やした事もあった。


去年の夏に観た星空が衝撃的に美しかったからと言って、

今君と観ている星空が去年のと比べるとあまり美しくない なぞと言うのは野暮だろう。

音楽においては別である。


件のランキング 邦楽編 2位

tofubeats - 水星 feat,オノマトペ大臣(PV)


小粒なアーティストしかいねえ なんてな印象は、

お洒落というものが最早一つのジャンルを形成しつつある事と無関係ではあるまい。

つまりはどういう事かというと、かつては様々な分野に散らばってあったシャレオツが

後続のミュージシャン通称裕次さんによって、かき集められた結果

お洒落なものにお洒落なものを掛け合わせ、さらにそこにお洒落をまぶしなんてな事で

結果お洒落が渋滞し、こじんまりとまとまってしまっているのではないか という事である。

このtofubeats通称 豆腐音頭も、ルーツは多岐に渡る。

コード進行自体には基本的に知的財産としての価値は無いので割愛するが、

ファンカデリック「ニーディープ」を根幹とする

ノコギリ波主旋律系に属しているとみることが出来る。


この系列は実に様々なパティーンを生み出しその中に名作は多々あって

コモン「BE」 も当然その系列であるが完成度はトップだと思う。

コモンの場合は、演奏をジャズ裕次さんが担当していて

ウッドベースの響きとノコギリ波が絶妙に同居する事で、

アナログとデジタルの融合を自然に成立させている。


だからと言って豆腐音頭がパクリ野郎だとは思わないが

お洒落とお洒落が掛け合わさってお洒落なものが出来ました つって、

そら捕れたての魚をその場で捌いて醤油かけて食ったらうめーだろ 的な

驚きが全くねえけど その辺どうよ という素直になれない気持ちがある。


そしてそういったパティーンで音楽を作る以上、過去の名作は超えていかなければならないのに

果たして本当にあれで良いのか。

あれに1票を入れた人間は、この曲を知っているのだろうか

いかつい黒人のギャングスタがこんなに愛らしいバックトラックの上にライムを重ねるこの曲を

私はとても良いなあと思うのです。