100g4000円の豆がありました

今年、UCCは史上最高得点を叩きだした豆を全て買い占めた。

100g=4000円

私が普段背伸びをして飲んでいる豆は、700円。

試飲という形ではあるものの、私の胸は高鳴った。

元来グァテマラという珈琲には苦手意識があって、

というのも、スーパーで手に入る最も上質であろうある珈琲があるのだけども

それのブレンドがグァテマラの味が強かったからか、

その後飲んだまともなはずのグァテマラも、スーパーの味として私の舌に記憶されてあって

勿論、後味のキレや雑味の無さにおいては圧倒的に違うのだけども

香りそのものがグァテマラの範疇にあるので、私は以降グァテマラを避けてきた。


その日、ジャズメンとお茶をしその後飲み会という

完全にリア充な私は、密かに珈琲の試飲を楽しみにしてあった。

未知の領域に足を踏み出す事

それは芸術において最早難しい体験になってきていて、

最高を知る という久しぶりの行為に、私はせかせかとデパ地下という

私のルサンチマンを掻き立てる場所へ赴いたのであった。


例の奴ある?


あるよ


と言って出てきたそれは周りの人には、おっさんがただ試飲をしている光景に見えただろうが

この30ccは、農家の魂の結晶をドリップが趣味のおっさんが気合を入れて淹れた

作品なのである。

一口飲んだ瞬間、世界は弾けた。

なんてな事は無い。

口に含むとまずグァテマラがあり、

クリアな酸味がやってきて、それから丸い甘みとすれ違い

余分な後味の無い澄んだ光景が広がった。

その後舌にはどこから来たのか、黒糖の様な甘みが残って

うわあ すげえな

と私は思った。

いつも飲む珈琲が3分間のポップミュージックなら

これは15分の組曲のようで、

飲んだ瞬間からいくつも顔を変え舌を楽しませるこれは、

珈琲という言葉が持つ意味を新たに私の中に増やした。


あの珈琲を飲むに値する時間と場所、そして人

それをどうにか作れる様に精進したいものですな

と人事の様に思つた