風立ちぬを観た感想

風立ちぬを観て、最高だった完璧だったと思われる方は読まない方が良いかもしれませんので、ご了承下せえ。

私は、偶然が2つ重なり見ることになったので大きな期待も無く

事前に知った情報は、零戦開発の話らしい程度のものだった。

観終わって思ったのは、何だかぱっとしない印象だったなというもので

それは何故だろうか考えた。


まず、この映画の主軸は主人公二郎の成長を描く事で進むが

その際、恋愛パートと夢のパートもまた一つの軸を作り出している。

この3つの軸が絡み合い物語は進むが、途中これに同期との共闘も描かれていく。


物語の導入部は、大正時代と思しき美しい田園風景で

非常に心地よい映像で、関東大震災の映像もダイナミックでこれぞジブリと言えるものだと思えた。

しかし、時折導入される夢のパートは

折角の夢という設定なのに、映像は現実の延長であって

夢の中なのだから、もっと無茶苦茶して欲しいという気持ちが芽生えた。

スピード感が変わる事も無く、その原因は二郎という人間の性格の所為かと思われるが

終始物語は淡々と進み、映画自体長く感じた。


恋愛パートも基本、淡々と進み

再開のシーンも、お互いがお互いを認識しているのかどうかも定かでは無い感じで

それが急に奈緒子が盛り上がり、二人紙飛行機を飛ばして結句結婚という流れで

ここにも二郎という人間の淡々とした性格がドラマティックな展開を拒否していて

良く分からん。

奈緒子が結核という病気を患っていて、二郎の妹が医者の卵という設定も

二郎の妹が、将来結核を世の中から無くすと息巻く事も無く

淡々と奈緒子は死んでいく。


映画エンディング

奈緒子が死んだすぐ後に、美味しいワインを飲もうと誘われ

「はい」と元気良くワインを飲みに行く二郎の映像に

荒井由実「飛行機雲」が流れて終了。

飛行機雲とは、奈緒子の事だったのか と思い何だか腑に落ちないで映画館を後にした。


途中、二郎がドイツを訪れた後世界を回って来いと言われた後

どんな世界の映像が観れるのかなと期待したが、その場面は全部カットされていたり

終始こちらの期待をはぐらかす展開。

夢のパートの必要性も感じられず、絶賛している人もいるのだろうけど

私には、良さがあまり分からなかった。

結核の療養所の閉塞感はとても良かったと思う。