ダークナイト・ライジングの感想(観る予定の人は読まないが吉)

ダークナイトライジング観てきた。


前作ダークナイトが余りにも良くて、正直そこまで感動はしなかった。

そこでダークナイトはどこが良かったのか考えてみると、

ジョーカーの描き方にあったと思う。

私自身バットマンは1作目しか観ていないので見当外れな所もあるかもしれないが

所謂ヒーローものにおける悪役というものの中で

最も悪役然としていたのがジョーカーである様に思う。

大概の悪役は、どんなに悪であっても

そこに大義があった。

それは現実にある無差別テロであっても、宗教戦争であっても同様であって

やはり相対的世界の上では、正義の反対はもう一つの正義でしかない。

それが、ダークナイトでは

正義を際立たせる為に悪があるのだ という論理でジョーカーは存在し

悪い事をしたいから悪い事をするという純粋な悪意がそこにあって

それが非常に恐ろしく、またその悪意に対抗するのはそれを超える悪意しか無いのだと迫る事によって

正義とは何か?を問いそれの解答を突きつけてくるような鋭さがあった。

ダークナイトライジングが残念ながら凡庸な作品に落ち着いたのは、

ベインという悪役にも大義があるのだという事が中盤で明かされて以降

開放された囚人が富める者から強奪をするシーンが象徴している様に思う。

ベインは一つの革命を志す者であって、そこには社会の不条理な仕組みに対する怒りが根底にあって

それは理解し難いものでは無かった。

しかしだからといって、勧善懲悪じゃないから駄作かというとそうではなく、

ガンダムを始め、ザ・ロック等も敵側の正義が描かれるからこそより深い作品になる事もある。

何故後味があまり良くないと感じたのかを突き詰めると

伏線と伏線回収と驚きのラストという基本に忠実なプロットにあるのではないかと思う。

伏線においては非常に丁寧に回収されていき、ご丁寧にもラストに一捻りある。

以前にこの様な映画があったなと思い出されるのは

マイノリティ・リポートである。

前半1時間の緊張感と映像は文句なしの出来なのに、

後半で無駄にどんでん返しが繰り返されるあの感じ。

これは不味い中華料理屋の定食でも同様の感覚があって

とりあえず品数多かったら嬉しいでしょ? みたいな

ピントのずれたサービス精神が癪に障るのだと思う。

凡庸な料理が何品あったところで、

5+5+5=15点とはならない。(1品10点として)

−5 + −5 + −5=−15点の減点が加点されるだけなのである。


背骨に自信が無い者は、無駄な贅肉を付けるという事なのだろう。

これがインセプションを撮った監督だとは信じられないが

まあ、次回作の資金集めなのだと思って

次に期待したい。


ただ、バイクだけは滅茶苦茶カッコ良かったです