メタル編

メタルというと煙たい顔をする人がいらっしゃいますが、

一時はアムラーシノラーと並びメタラーは一斉を風靡しました。

パンクとメタルはほとんど同じ様な音楽性なのですが、

そこには深い溝があります。

パンクは精神性を重視したのに対して、

メタルは肉体重視です。

ギター、一つの取り扱いにしてももっと速くもっと強くもっと正確にと考え

その姿は体育会系と言うよりはアスリートと言った方が的確です。

ですから基本的にメタル系の音楽はマッチョマンが演奏していますし、

ギターソロというものが最重要視されます。

高い音楽性を目指すというよりも、高い技術を志向する傾向にある為

メタルの愛好家には実際楽器を弾く者も多いですし

メタルの演奏家達は、

クリニックと称した勉強会みたいなものを度々日本で行います。

技術の向上に抜かりが無いメタラーを侍の様だ と言う人もしばしばいます。


では歴史的にみるとメタルはどこからやってきたのだ?となりますが、

これは一般的には、

ビートルズヘルタースケルター」がメタルの元祖と言われています。

その後レッド・ツェッペリンがハードロックの様式を示し

ディープ・パープルがその様式を完成させた様に思います。

2000年に入り、ポスト・ロックというものが流行すると

その中にはメタルを取り入れたバンドが多数出てきます。

これは、ポスト・ロックがそもそもアンビエント的な雰囲気重視の音楽性だったものが

次第に楽曲が長くなり複雑化していく際に、演奏者の技術が重要視された為に

プログレッシブロックと何ら変わりない状態になってしまった後

逆にメタルはありなんじゃね? という勘違いから生まれた悲劇です。

グランジというジャンルにおいても、

ヘビィさを追求するあまり、これもうほとんどメタルじゃね?っていうのがたくさんあって

これはギターの演奏者のほとんどがギターキッズだった為に起こる

音楽三大七不思議の一つです。


気付いたらメタル


これは夜に咲く女子であれば分かると思いますが、


気付いたらAV


と同じようなもので、

始めは軽い気持ちでキャバクラをしていたのに、いつの間にか風俗嬢になっていて

あれよあれよと言う間に、AV出演が決まってしまう事にとても似ています。

その際本人の意識は朦朧としている事が多く

後から振り返って、ちょっとメタルだったね と苦笑混じりで邂逅されます。


ちなみにギターキッズとは、雑誌「プレイヤー」及び「ヤングギター」を定期的に読み

カニカルトレーニングと呼ばれる音階の上昇下降の指の運動を日々欠かさず

運指と呼ばれる効率的な指の移動や運用の研究と、

好きなバンドのツアーTシャツを、そのバンドが好きだからという理由のみで着用している状態で

あまりにもキッズをこじらせると、ペイズリー柄のバンダナを頭に巻いたり

Gジャンの袖を切って半袖にしてみたりと言った

無駄に積極的なファッション性という末期状態になる為に非常に危険です。


ハードロックとの境界は非常に曖昧で、素人には全く見当もつかないと思いますが

見分ける方法としては、



Q,車を運転していて知らないうちにアクセルを踏み込んでしまった
A,それはハードロックです

Q,気付いたら80km以上出ていた
A,それはメタルです

Q,気付いたら一緒に歌っていた
A,それはアニメタルです

Q,警察に捕まった
A,それはロックです

Q,急にハンドルを左に取られる様になった
A,それはパンクです       

概ね仕分ける事が出来ます。
 

この様にネタにされてばかりのメタルですが、

ギター弾きのほとんどが通る道なのでみなさんも一緒にその世界を覗いてみましょう。

決して立ち止まらないで下さい


ビートルズヘルタースケルター


ビートルズが偉大と言われる所以は、この様に多種多様な楽曲を生み出した事が大いに関係しています。

サビの部分にメタルの新芽が見られると思いますし、全体的に騒々しく

音自体の強度が高く感じられるのがメタルの元祖と言われる理由だと思います。


レッド・ツェッペリン「胸いっぱいの愛を」

ギターソロから入るパターンですが、

フレーズが速くなった時に会場が「ウオォーーーーッ」と盛り上がったのが聞き取れたと思います。

そして、曲の途中のソロでも「ウオォーーーーーッ」です。

お前らただ騒ぎたいだけちゃうんかと。

たぶん そうなんだと思います。

レッド・ツェッペリンのオリジナル音源の方が100倍完成度高いですが、

メタルとは何かを知る上で、ライブ動画も参考になると思います。

この騒いでる人たちはこの後売場でツアーTシャツを買う事になります。


ディープ・パープル「バーン」

個人的にはメタルという音楽の最高傑作だと思います。

リフの完成度、ドラムの自由度と疾走感、クラッシックを取り入れたソロ

サビ前のブレイクからの「バァーーーーーーーーーン」は気持ち良いです。

ギターもどんだけだよ という位に巧く、楽曲の構成もまとまっていて

これを6分にまとめれたのも凄いですね。

あらゆるアイディアが詰め込まれた名曲と言って良いでしょう。


オジー・オズボーン「クレイジー・トレイン」

メタルと言ったらオジーだろ という位、今のメタルのイメージを決定づけた人です。

元々はブラック・サバスのボーカルで、悪魔信仰とメタルを結びつけた元祖と言えます。

サバスはメタルを超えて奥田民生を筆頭に色々な人に影響を与えていますが、

ジーという人は、アメリカそのものに影響を与えているかもしれません。

曲を聴くと驚く程ポップですし、声質もオフスプリングに似ていると思うかもしれませんが

パンクとの違いは、ギターのバッキングとCDのジャケットと見た目です。

あとクラシカルな要素があるか無いかもポイントで、

その辺はランディー・ローズという天才ギタリストの力が大きいかもしれません。


モトリー・クルー「Shout At The Devil」

巨大なバスドラムで有名なバンドで、LAメタルというジャンルの代表格です。

見た目がグラマラスですが、その辺は日本のジギー含め多くのイカ天バンドに影響を与えました。

音楽に興味が無いお母さん等は、

コンサートを見に行くと言い

若い人はライブを見に行くと言いますが、

多くのメタラーは、ギグを見に行くと言うので誘われたら注意して下さい。

この人たちは全世界で今までに8000万枚以上売りあげている事からも分かりますが、

日本以外の国では、メタルは一般的な音楽ジャンルになっています。


ヴァン・ヘイレン「闇夜の爆撃」

ギターソロ1発で世界中のキッズを虜にしたヴァン・ヘイレンです。

CD発売当時、どうやって弾いてるんや!?とギター界は騒然となり

今ではライドハンドタッピングという名称で一般的な奏法として認知されましたが

メタル界においてはいかにギターという楽器が重要なものか分かると思います。


AC/DC「バック・イン・ブラック」

メタルの重鎮です。B'zのホットパンツに大変大きな影響を与えた事で知られています。

シンプル・イズ・ベストを地で行く人達で、アメリカ人の心と言っても過言ではありません。

ボーカルが普通にメンバーチェンジされる

というメタルの悪しき風習を浸透させた人達でもあります。

サザンから桑田が抜けてもサザン・オール・スターズと呼べるのか?

日本ではそういう風に思われるかもしれませんが、

アイデンティティとは何か?を考える上で重要なテーマだと思います。

アメリカでは、マリリン・マンソンからマリリン・マンソンが抜けて

残ったマリリン・マンソンマリリン・マンソンと名乗り続けるかどうかが話題になったりする程で

ボーカルなんて飾りなんや というメタル道のあり方が分かると思います。


では、最後にメタルを上手に取り入れた音楽を紹介します。


アタリ・ティーンエイジ・ライオット「スピード」


非常にカッコイイ人達です。90年代後期、メタルを少しだけ取り入れるというトレンドがありました。

この人達は、メタルとテクノを上手に融合したと思います。


プロディジーヴードゥーピープル」


メタルっぽいギターが生かされたドラムンベースの名曲です。

私は2回目のフジロックで彼らを見ましたが、会場の全ての人が踊り狂うという

正にヴードゥー教のお祭り状態で怖かったです。


ビースティ・ボーイズ「ファイト・フォー・ユア・ライト」


ヒップホップにメタルを持ち込み、後のミクスチャーロックに影響を与えた人達です。

1枚目のアルバムは、レッド・ツェッペリンのネタが多く

またジャケットが911のテロを示唆している様で興味深いです。


ダフト・パンク「エアロダイナミック」

松本零士が手がけたPVと、ボーカルに特徴的なエフェクトで

ディスコやソウルに新しい息吹を吹き込んだとされる傑作「ディスカヴァリー」というアルバムですが、

メタルの色濃い影響も見逃せません。

3曲目ではヴァン・ヘイレンばりのギターソロがあり、

4曲目では歌とギターの境界を無くす試みがあり、

このエアロダイナミックという曲では、ライドハンドタッピングの様なフレーズで

メタルを意欲的に取り入れています。

後に、「ロボットロック」という曲で完全なメタルをやりますが

やはりメタル臭が強くて、ちょっとアレな仕上がりになっています。



以上、メタルというものがどの様に成長し他の音楽に影響を与えたかを紹介いたしました。


可愛いあの娘も

上着を脱いだらツアーT

その可能性を忘れないで下さい