ライブハウスが終わった理由

ライブハウスが完全に始まったのはバンドブーム以降の話で

これ程まで増えたのには訳があります。

一つは絶対に赤字にならないシステムが構築された事に原因があります。

これは株と同じ様な幻想を大衆に売る事を担保にしていて、

株で儲ける為には、株で負ける素人を大量に確保していく必要があるのと同様に

ライブハウスが儲かるには大量にアマチュアバンドが必要です。

そして、ライブハウスはそういった人々の夢を喰い潰しながら延命している状態です。

これは何も音楽に限った話では無いので、

例えば高円寺の商店街に出店する洋服屋さんにも言える事ですし

もっと言えば経済とはそういうものなのでしょう。

ライブハウスが終わった一つの根本的理由の一つに、

クラブがあるのだと思います。

これはライブハウスが盛り場として機能を譲ってしまった面がある事からの勝手な想像ですが

盛り場は、盛りのついた人々が集まる事が唯一の訴求力を持つのであって

行列が次の行列を呼ぶのと一緒で、

一旦悪い循環に入るともうほとんどそれは終わってしまいます。

とりあえず人がいるからライブハウスに行こうかな

そう思わせるだけ人がいた時は良かったですが、もうそこに人はいません。


ライブハウスが赤字を出さない理由は、顧客がアマチュアバンドだからであり

出演料を払わせる事で利益を確保しているからですが

少なくともライブをやりたいと思わせる事が絶対に必要です。

これまでは、ライブをする事で動員を増やしたり

スカウトの目にとまってメジャーデビューなんてな幻想がありましたが

少なくとも私が出演したライブにスカウトマンが来た事はほとんどありませんし、

業界の人間が来ていたとしても、彼らも信用に足る人種ではありません。

では何故ライブをするのか?と言われると


バンドが提供出来るほとんどメインのコンテンツだから

という理由しかありません。

しかし、今ではネットで音源のダウンロードも出来るし

バンドマンがブログを書く事も立派なコンテンツだと思います。

問題なのは、

利益が出ない という事だけです。


で、本来利益を出すべきライブですが

基本的に東京のライブハウスの出演料は3万円くらいです。

チケットが2000円なら15人に売ってトントンになります。

15人

多いと捉えるか少ないと捉えるか

私には多いですし、第一2000円払う価値があるライブをやれる気がしない。

というのも、

私たちが出演している時間なんて高々30分程度の短い時間です。

凄い気合の入ったイベントで他の共演者にも魅力がある場合なら、

2000円払う価値はあるかもしれませんが、

それは当たりの無い宝くじを買わせる様なアコギな商売です。


私たちのバンドは、30分で判断されるにはあまりにもノイズが多いバンドであり

持ち時間の20分はMCですし、

そうなると曲は3、4曲もやると時間が来てしまいます。

見た人のほとんどが、白か黒かも判断出来ず

まるで事故にあったかの様な顔で帰っていきます。

これではいけない。

そして、そういったライブを重ねてきた私たちは疲弊してしまいました。

毎回お金を払ってあてどない夢を追い続ける事に疲れたのであります。

東京でライブをやり始めた頃は、

30分の時間でいかに自分達の音楽をプレゼン出来るか?とストイックな姿勢でしたが

そもそも音楽的好奇心のある客なんていやしないんです。

誰かの友達がただ義理で見に来ているだけ。

的が無いのにダーツが出来ますか?と問いたい。

それから、少なくとも来て頂いたお客さんは楽しませる様に努力しようと

帰って寝る時に、今日はおかしな物を観たな

そう思って貰えればいいやと、今現在のスタイルになっていきました。

リピーターもいた事もありましたが、いかんせん持続しない。

そこには、

たったの30分観る為にかかる労力がコスト的に高い為だと思われます。

また東京のライブハウスには地域性に縛られないという一見メリットと思える特性がありますが

これは残念ながら一番のデメリットであると思います。

一日の終りがライブにならないんですね。

必ず最後には電車に乗って帰宅するというイベントが待っています。

これをクリアするには、

ライブ後 電車内でも楽しめるコンテンツの用意が必要でしょうし、

もしくは昼にライブをやるのが良いでしょう。

公園でコーヒーを淹れながら、ダラダラ話して

気が向いた時に演奏する

これが私たちのバンドには最も向いているやり方じゃないかなと

今こうして文章を書いていて強烈にそう感じました。

ライブハウスのメリットは良い音響システムがあるってだけであって、

音楽もトークも同じくらい大切にしている私たちが

音楽に特化する必要は全く無いでしょうし、

縛られない場所でのんびりやるのが私の性質にあっている気がします。