天才と凡庸

では趣向を変えて、天才と凡庸の違いを考えたいと思います。

音楽界には科学や哲学や美術の世界に比べて天才と呼ばれる人がたくさんいます。

何故か?

単純にたまたま音楽には天才的な人物が結集した

そう考える事も可能ですが、私はそうは思いません。

学問としてまだ体をなしてない為に、とりあえずある基準を超えた人は

天才としておこうという適当な理由と、

商業的に天才として評価した方が単純に売れやすいという大人の事情、

リスナーが主に評論者の為に客観的に物事を捉えられていない等の理由がある為と私は睨みます。

つまり学問であるなら専門課程を経た専門の人がある人を天才と評するのに対して、

音楽の場合は、

熱心な信者が「私の宗教のここがすごい!!」

と言っているだけだったりする為に、音楽界ではほとんどの人が天才と言われます。

B'zの松本が凄い

ミスチルの桜井が凄い

ジョン・レノンが凄い


全部信者の妄言と言っても差し支えないでしょう。

逆に、

「ぼかぁあれなんつったっけ、ん、あぁそうそうサザンオールなんちゃらって奴ね、まぁ好んで聴く訳じゃあないんだが、桑田っつうのは非常に非凡なアレがあるとは思うんだけどね、ぼかぁ熱心に聴く事はないんだがね はっはっは」

こういう事を言う人がいたとしても

それはステマであると思って間違いありません。


ミュージシャンというのは非常に傲慢で勝手で適当な人間の吹き溜まりなので、

私は天才でR

そういう風に誰もが思っています。

しかし、やはり凡庸と天才ではその気質に大きな違いが見られます。

ここでは、その気質が楽曲にどの様に反映されるかみていきたいと思います。


では非常に心苦しいですが凡庸な人の楽曲

大事マンブラザーズバンド「それが大事」

演奏時間5分24秒

まず私が言いたいのは、

何回繰り返すねん という事でして、

これはええ感じのサビが出来た!という感動から、何回も聴かせたい!という

心の欲求から、執拗にサビを繰り返してしまうという凡庸な人にありがちな失敗です。

確かにそういった場合、なかなか良く出来たサビだったりしますが

あんまり繰り返さない それが一番大事だと思います。

同傾向曲 andymori「ファンファーレと熱狂」

     The虎舞竜「ロード」

     小川直也「STO」


では天才は閃きをどの様に表現するかというと、

ビーチ・ボーイズ「Add some music to your day」


演奏時間 3分39秒

コーラスワークに重きを置いた楽曲ですが、展開に閃きが凝縮されています。

1分53秒〜 の展開と

2分25秒の素晴らしいメロディーはとても閃きに満ちていますが、

繰り返される事はありません。

この様に天才は、一つの閃きに執着する事はありません。

一つ閃いたら、更に閃きを被せようとするのが天才の気質であると言えます。

同傾向曲 ダフトパンク「Harder, Better, Faster, Stronger」

ビートルズ「yes,it is」

獣神サンダー・ライガー「シューティングスタープレス」


凡庸例

ザ・ナック「マイ・シャローナ」

演奏時間 4分05秒

まあ名曲ではあります。あるんですが、果たしてこのギターソロ

長すぎやしませんか?

この場合は、ある一つの良いものが閃いたけれども

それを上手にまとめられなかった と見る事が出来ます。

2分40秒〜 のギター・ソロ

完全に曲から浮いていると思いませんか?

勿論 ソロ自体の出来は良いですし、その後の展開もまあ悪くは無いんですが

出来れば一つの世界観でまとめて貰いたかったなあと思ってしまいます。

同傾向曲 バグルス「ラジオスターの悲劇」

     スパイス・ガールズワナビー

     和泉元彌空中元彌チョップ


では天才は、

ギルバート・オサリヴァンアローン・アゲイン

演奏時間 3分45秒

非常に良くまとまっていますね。

この曲は、ある一つのメロディーをコード進行を変えながら展開させていくという手法ですが

その展開が非常に滑らかでかつ、良い意味で期待を裏切らない閃きに満ちた仕上がりです。

サビで少し おやっ!?と怪しくなりますが

これはこれで良いと思います。

初めに閃いた感動を壊さない様、壊さない様

繊細にその世界を膨らませているのが分かると思います。


同傾向曲 ウィーザーバディ・ホリー

     ビートルズ「ペニーレイン」

     木村健吾「イナヅマ!」


えーここまで読んで、

同傾向曲の3個目をやりたいだけじゃないか!と思った人がいるかと思います。

私もそう思います。

分からない人は各自ググって下さい。

どの分野にも天才と凡庸はいます。

閃きの質で天才かどうかを判断する事は困難です。

また、天才とは天才的な閃きの連続によってのみ存在が許された存在だと思います

閃きの扱い方を見ると、その人が本当に天才かどうかが分かると思います。

あと、

2枚目だけが異常に良い出来のウィーザーや、

良い曲はとことん良いキリンジ等の才能は、天才では無く

神がかりであって、天才とは区別した方が無難だと思います。

シングルでだけ良い仕事をする

くるり や ブラーの様な才能は、アルバムを聴くかベスト盤を聴くかで大きく印象が変わります。

ある人のある一面だけを見てこの人は良い人だと判断して

悲惨な結婚生活を送らないよう祈っています。